基礎知識

狙う市場を決める「STP分析」とは?

「みんなに買ってほしい」と思って発信しているのに、なぜか誰の心にも刺さらない——そんな悩みを解いてくれるのがSTP分析です。市場を切り分け(S)、狙う相手を選び(T)、その中で自社の立ち位置を決める(P)、という3つの手順で「誰にどう選ばれるか」を順番に決めていきます。万人向けをやめて狙いを絞ることが、かえって多くの人に届く近道になる——その理由が、この記事を読むと腑に落ちるはずです。各手順の意味と進め方を初心者向けにやさしく解説します。


なぜSTP分析が必要なのか

商品やサービスを「全員に向けて」打ち出すと、メッセージはどうしても当たり障りのないものになります。誰にでも当てはまる言葉は、結局、誰の心にも強く響きません。限られた予算と時間で成果を出すには、届ける相手を絞る判断が欠かせないのです。

STP分析は、その「絞り込み」を感覚ではなく順序立てて行うための道具です。市場を分け、相手を選び、立ち位置を決める——この流れに沿うことで、訴求の軸がぶれなくなります。

1S:市場を切り分ける(セグメンテーション)

まず、市場全体を似た特徴を持つグループに分けます。これをセグメンテーションといいます。分け方の切り口には、いくつかの種類があります。

  • 年齢・性別・地域などの基本属性
  • ライフスタイルや価値観
  • 抱えている悩みや求めているもの
  • 利用頻度や購入のきっかけ

いきなり細かく分ける必要はありません。まずは2つか3つのグループに大きく分け、それぞれがどんな人たちかを言葉にしてみましょう。

2T:狙う相手を選ぶ(ターゲティング)

切り分けたグループの中から、自社が最も貢献できる相手を選びます。これがターゲティングです。選ぶときは、次の点を見比べます。

  • そのグループに十分な人数がいるか
  • 自社の強みが活きるか
  • 競合がひしめいていないか
「全部のグループを狙いたい」と欲張ると、結局どれも中途半端になります。最初は一つに絞るくらいの思い切りがちょうどよく、そこで手応えをつかんでから広げると失敗しにくくなります。

3P:立ち位置を決める(ポジショニング)

狙う相手が決まったら、その人たちの頭の中で「○○といえば自社」と思い出してもらえる立ち位置を決めます。これがポジショニングです。

大切なのは、競合と違う軸で勝負すること。「安さ」で競合が強いなら、「丁寧さ」や「専門性」など別の価値を前面に出します。選んだ相手にとって意味のある違いであれば、価格競争に巻き込まれずに選ばれやすくなります。

4ずれていないか確かめる

STPは、机上で決めて終わりではありません。決めた立ち位置が、実際のお客様にそう伝わっているかを確かめることが大切です。

ここで役立つのが、買ってくれた人の声です。「なぜ自社を選んだのか」を聞くと、狙った相手と実際の客層がそろっているか、伝えたい価値が伝わっているかが分かります。想定とのずれが見つかれば、ターゲットや立ち位置を調整するヒントになります。

よくある質問

Q. ターゲットを絞ると、お客様が減ってしまいませんか?

絞ることで対象人数は確かに減りますが、メッセージが鋭くなるぶん、選んだ相手に深く刺さるようになります。「誰にでも合う」発信より「自分のための商品だ」と感じてもらえる発信のほうが、結果として申し込みにつながりやすいのです。絞った相手で手応えが出たら、似た特徴を持つ別のグループへ少しずつ広げていけば、対象を増やしながら訴求の鋭さも保てます。

Q. STP分析と3C分析はどう使い分ければいいですか?

3C分析は顧客・競合・自社という市場全体の状況を把握するための分析で、STP分析はその情報をもとに「誰を狙い、どう選ばれるか」を決めるための分析です。順番としては、まず3Cで全体像をつかみ、その理解の上にSTPで狙いを定めると進めやすくなります。両者は対立するものではなく、3Cで現状を見て、STPで進む方向を決める、という流れで組み合わせて使うのが自然です。

まとめ

STP分析は、市場を切り分け(S)、狙う相手を選び(T)、自社の立ち位置を決める(P)という3つの手順で「誰にどう選ばれるか」を定めるフレームです。万人向けをやめて狙いを絞ることが、かえって深く刺さる発信につながります。まずは市場を大きく分けて一つのグループに絞り、競合と違う価値で立ち位置を決めるのがコツ。決めた狙いがずれていないかは、お客様に「なぜ選んだか」を聞いて確かめると、調整のヒントが得られます。

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